朝日連峰

 朝日連峰は山形・新潟両県の県境に位置し、大朝日岳(1870m)を主峰とする自然豊かな一大山岳地帯であり、お隣の飯豊連峰と同じく花崗岩の降起山塊である。

 

朝日連峰の沢

 標高は2000mにも満たないが、延々と連なる重厚な山容と、広大なブナの原生林、峻険な渓谷が山の深さを教えてくれる。特に、この山域は豪雪地帯で遅くまで大きな雪田、雪渓が残り、その雪解け水で水は常に豊富である。加えて沢は壮年期のV字谷で植生も薄く、花崗岩の岩肌のため全体として明るい。源頭は草原となり、主稜線を外さない限りひどい藪漕ぎはない。

 朝日の主稜線に詰め上げる沢は、北と東側の赤川水系、東と南側の最上川水系、西側の三面川、荒川水系の4つに分けられる。これらの水系のうち、東と南側の沢は総じて傾斜も緩く登りやすい。一方、西側の沢は急峻で、核心部は悪相なゴルジュを呈するところが多く、困難な沢が多い。また、本流筋の沢は高度が上がらないまま延々と主稜線近くまで迫っており、源頭近くで滝を連ねて一気に稜線に突き上げている。

 朝日の支尾根の沢の記録はほとんどないに等しいが、朝日主稜線につめ上げる本流筋とは比べられないが、未知、未開拓の沢には、何が現れるかわからない、期待と不安。登山のありとあらゆる技術を駆使して、自分たちの進むべきルートを自分たちで探し、道をつけていくという沢登り本来の楽しみがある。 

 朝日連峰の山

 朝日連峰は主稜線が南北15㎞におよび、東西に肋骨状に、また南北には半放射線状に数多くの支尾根を派生しているのが特徴である。

 連峰の主稜線には縦走路があり、主要な尾根には主脈縦走路に上がる登山道があるが、登山道を外れた山々にも魅力的な山が多くあり、無雪期は藪山となり登るのは厳しい。