女川流域
源流部は山形県小国町と新潟県関川村をまたぎ、蕨野地区で支流の藤沢川を合わせ、米坂線越後大島駅付近で荒川に合流する朝日連峰側の一大支流である。上流部は山形県側から入りやすく、穏やかな渓相と、岩魚が多いため釣り人の入渓が絶えないが、中流部は両岸狭まった中に川幅いっぱいに滔々と水が流れ、両岸が切り立っているので水線を忠実につめるには、この延々と続くゴルジュ帯をほとんど水に浸かりながらの遡行となる。ただ両岸の壁はそれほど高くなく、右岸の段丘に山道が上流に続いているので巻きは容易だが、この山道は1976年遡行時でもかなり不明瞭な道だったので、現在は廃道となっていると思われる。この沢は中流部のこのゴルジュ帯の水線突破がポイントだが、上流部は広大なブナの原生林が広がり、このブナ林の中をゆったりと流れる穏やかな渓相が広がり、岩魚を釣りながらの楽しい沢歩きができる。枝沢は上流部に限られるが、林道終点付近に信仰の山、光兎山、頭巾山を水源とする八木ノ沢が流入する。支流の藤沢川は頭巾山を水源とし、多くの枝沢を合わせて女川に合流する。ほとんど登られていない沢だが、標高420m付近から一気に高度を上げてつめ上げており、源流部のシラソマダ沢、白ソマダ沢、クロクラ西沢とも5m前後の滝を多く懸けて、なかなか面白い沢と聞く。女川と藤沢川を繋げれば沢登りの醍醐味を十分味わうことができるだろう。渓谷から渓流へ、沢から沢へと沢登りの面白さ、楽しさを全て兼ね備えた流域だ。